運動器疾患に関わる理学療法士や作業療法士、柔道整復師などに知っておいていただきたい関節の機能解剖についてまとめた(表)。
関節可動域(Range of motion:ROM)の制限因子を考える際やROM練習を実施する際の参考にしていただければと思う。
関節は、骨(関節面)、関節軟骨、関節靭帯、関節包などから構成されている。
場合によっては関節円板や関節半月、関節唇を有し、その適合性を担保している。
関節面と関節面の間には、一定の間隙(関節腔)が存在しており、関節腔は滑液によって満たされている。
骨(関節面)は、一方が凸面(関節頭)をなし、もう一方が凹面(関節窩)をなすのが基本構造である。
関節頭および関節窩は、関節軟骨に覆われている。
その関節面を覆う関節軟骨は、硝子軟骨と呼ばれ保水性に富み、摩擦係数が限りなく低い。
そのため、荷重の緩衝作用と潤滑機能を有す。
滑液は滑膜から分泌され、関節の衝撃を緩和したり、潤滑作用および関節軟骨の栄養作用がその働きである。
関節円板と関節半月は、関節腔内に介在する線維軟骨性組織である。
辺縁部には血管と神経があるが、中央部には両者とも存在しない。
関節円板と関節半月は、特定の関節に存在しており、主な役割は関節の適合性を高める、関節面への圧力や衝撃力を分散する、関節内を移動することで運動時の適合性を高め可動性を適正化する、滑液の分散作用などである。
関節唇も関節の適合性を高めるのがその主な作用であり、関節唇を失うと関節の安定性が約20%も損なわれるといわれる。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。