ウレミックサルコペニアについて

本稿では、慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に伴う『ウレミックサルコペニア』について、その概念や病態メカニズムを解説する。

ウレミックサルコペニアとは、CKDの進行によって起こる尿毒症(uremia)が原因で発症するサルコペニアのことである。

尿毒症は、「末期腎不全(end-stage renal disease/end-stage kidney disease:ESRD/ESKD)でみられる全身の多臓器障害」である。

一方、サルコペニアは「転倒、骨折、身体機能障害および死亡などの転帰不良の増加に関連しうる進行性および全身性に生じる骨格筋疾患」である。

そのため、ウレミックサルコペニアはESRDの状態で尿毒症により惹起される進行性かつ全身性の骨格筋疾患となる。

その病態メカニズムは、CKDの進行に伴って腎機能が『不可逆的』に著しく低下したESRD状態で生じる尿毒症や低栄養、慢性炎症などによって、骨格筋のタンパク質や身体のエネルギー源(体脂肪量を含む)が減少するタンパク・エネルギー消耗状態(protein energy wasting:PEW)が引き起こされる。

生体におけるタンパク質の貯蔵源は主に骨格筋である。

そのため、PEWでは骨格筋のタンパク質が減少するので、当然、筋タンパクの代謝バランスが崩れ、合成よりも分解が促進されることで、骨格筋量の減少が進む。

これに加え、全身性の筋力低下も著しくみられるようになる。

さらに、CKDに対する不適切なタンパク質の摂取制限などの食事制限も、ウレミックサルコペニアの発症に影響を及ぼすと考えられている。

このようなウレミックサルコペニアが生じることで、筋力低下や体重減少(主には徐脂肪体重)、歩行速度の低下、活動量の低下が生じた結果、(身体的)フレイルやプレフレイルが増加することとなる。

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

 

 

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