関節可動域練習を考える!

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の臨床上、関節可動域(Range of motion、以下:ROM)制限をきたす患者に対し、治療をする場面は多いかと思う。

我々、理学療法士においてもROM制限が治療対象となる割合は極めて高い。

一概にROM制限といっても、その原因は様々であり治療に難渋することも多々ある。

そこで今回は、ROM制限に関する投稿をさせていただこうと思う。

ROM制限とは、関節の動きに関与する組織の病変により、ROMが狭くなった状態と定義されている。

ここでいうROMの狭くなった状態というのは、日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会が定める『参考可動域』に満たない場合をいう。

しかし、ヒトには個体差があることから、その関節の左右差を比較し、ROMが狭くなっている方をROM制限があると捉える方が臨床的かと思われる。

また、ROM制限に関わる用語として、『関節拘縮』、『強直』などもある。

拘縮とは、皮膚や骨格筋、腱、靱帯、関節包などの関節周囲軟部組織の器質的変化に由来したROM制限と定義されている。

つまり、関節包外の軟部組織に原因がある場合を拘縮といい、他方、関節包内の骨や軟骨などの関節構成体に原因がある場合を強直という。

以上より、ROM制限の原因が大まかに理解できるかと思われる。

このROM制限の原因をROM制限因子といい、以下の8種類に分類されるのでご紹介する。

1)痛み、2)皮膚の癒着や可動性(伸張性)の低下、3)関節包の癒着や短縮、4)筋・腱の短縮および筋膜の癒着、5)筋スパズム、6)関節包内運動の障害、7)腫脹・浮腫、8)骨の衝突、の8種類である。

このようなROM制限因子の違いにより、アプローチ(治療)方法が異なるため、ROM制限が何によって生じているのかを評価することが重要となる。

実際の臨床においては、ROM制限因子が1つではなく混在していることが多いため、より正確な評価が求められる。

評価方法については、機会をみて投稿をさせていただければと思う。

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

 

 

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