心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と定義されている。
すなわち、何らかの心疾患の影響により心臓が悪くなり、次第に心不全症状が出現し、それは進行性かつ生命予後不良の病気であると読み取ることができる。
その心不全は、心不全ステージ分類により、以下ステージA~Dの4つのステージに分類される。
ステージA:器質的な心疾患や心不全症状は無いが、冠危険因子がある
ステージB:器質的な心疾患はあるが、心不全症状がない
ステージC:器質的な心疾患があり、心不全症状もある
ステージD:治療抵抗性(難治性・末期)心不全であり、概ね年間2回以上の心不全入院を繰り返す
つまり、心不全ステージ分類によるステージAとBはいわゆる生活習慣病や冠危険因子(高血圧、糖尿病、動脈硬化性疾患、脂質代謝異常、肥満、喫煙など)を基礎疾患として有しており、既往歴として何らかの心疾患を発症した経験のある心不全予備群といえる。
また、ステージCとDは心不全症状が顕在化した心不全群であり、ステージDにまで進行すると難治性および末期心不全となり、根本的な治療において回復が厳しい状態となる。
心不全ステージ分類を予防的側面からみると、ステージA~Dすべてのステージにおいて予防的介入が極めて重要である。
すなわち、生活習慣病や冠危険因子に対しては1次予防、心疾患を既往歴に持つ場合は再発予防や心不全発症の予防といった2次予防が必要である。
また、心不全が発症した場合においては、心不全の再発予防や急性増悪、突然死を予防するといった3次予防が重要であり、これは他職種による多面的かつ包括的なアプローチによって成されるプログラムである。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。