進んで聴診をしよう!!

皆さんは、臨床において聴診器を使用して患者のフィジカルアセスメントを実施することに、苦手意識はないだろうか。

実際、私自身も臨床経験が浅かった頃は、聴診器を持つことすら嫌な時期があったと記憶している。

しかし、聴診器の特徴を勉強しその有用性を理解することで、徐々に慣れていき様々な患者の聴診をさせていただくという経験から、今ではフィジカルアセスメントをする上で必須のものであると捉えている。

特に、内部障害を有している患者のリスク管理を考える際には、必ず行うべきであろう。

本稿をお読みいただくだけで、聴診の技術が高くなることはないと思われる。

しかし、臨床に聴診器を効果的に使用できるよう知識を身に付けていただければ幸いである。

聴診器は、非侵襲的に患者の身体内部で起こっている現象をリアルタイムにアセスメントすることができる非常に有用なツールである。

すなわち、呼吸音や心音、腸蠕動音、血管音などを聴取することによって、その音の強弱や高低、性質、異常音などを聞き分け、その状態を評価することができる。

したがって、聴診をする以前に、それぞれの臓器から聴取できる正常音は理解しておく必要がある。

例えば、心音であれば、通常はⅠ音とⅡ音の2つの音から構成される。

しかし、Ⅲ音やⅣ音が聴取される場合は、『過剰心音』とい評価でき異常音ということになる。

異常音が聴取される病態まで深く知識があることに越したことはないが、まずは「聴診してみる」、そして「正常音と異常音を聞き分けることができる」といった経験を積むことが重要であると考える。

そうしなければ、いつまで経っても聴診器を使用できないセラピストになってしまうであろう。

最後に、聴診器の特徴について表を参考にしていただければと思う。

通常は、聴診器の先端部分(チェストピース)の型は、『膜型』と『ベル型』となっている。大まかにいうと、膜型では呼吸音、ベル型では心音を聴取すると良い。

聴診器の種類によっては、『膜型 ベル型 一体型』というものもある。こちらは、チェストピースを押さえる力によって、膜型とベル型を調節できるようになっている(強く当てる⇒膜型。弱く当てる⇒ベル型)。

投稿者
井上拓也


・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

 

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