転倒予防の重要性

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の方々で、高齢者の問診や施術をしている際に、

「腕(肩)の骨を折って、手が上まで挙がらなくなった」

「手首の骨を折ってプレートが入っている」

「腰の骨を折ったことがあるから、腰が曲がっている」

「脚の付け根に金具が入っている」

等とお聞きすることはないだろうか。

これらの会話からは、それぞれ上腕骨近位端骨折、橈骨遠位端骨折、脊椎椎体骨折(胸腰椎圧迫骨折)、大腿骨近位部骨折(大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折等)の既往歴があることが容易に推測できる。

いずれの骨折においても、多くの患者の背景には骨粗鬆症があり、骨折の受傷機転は概ね転倒によって起こることが知られている。

骨粗鬆症の治療については医師の範疇と思われるので割愛するが、転倒予防は、特に訪問診療等に行っている鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の施術もしくは介入対象である。

転倒の発生要因は、内的要因と外的要因に分けて考えることができる。

内的要因とは、身体的なものとして、バランス能力・筋力・柔軟性・持久性・感覚等があり、認知・心理的なものとして、注意機能・意識状態・高次脳機能・身体イメージ・転倒恐怖感等がある。

外的要因とは、環境的なものとして床の状態・履物・照明・歩行補助具・服薬数等があり、課題や動作によるものとして、バランス能力の必要な課題・大きな筋力が必要な課題・スピードを伴う課題・二重課題・不慣れな動作・不意な外乱等がある。

つまり、なぜ転倒したのかを内的要因・外的要因の両側面から評価・分析し、治療介入することで、転倒予防が可能となるのである。

逆に言えば、転倒の内的要因・外的要因を知らなければ、転倒予防は難しいといえる。

投稿者

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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