リスク管理 胸水が溜まる原因とリハビリ上のリスク管理 胸水とは、肺を覆う臓側胸膜と胸壁側の壁側胸膜の間にある胸腔内に液体が異常に貯留する状態を指す(図1)。 正常でも少量の胸水は存在し、肺の滑らかな動きを助ける役割を果たしているが、過剰に貯留することで肺の膨張が妨げられ、呼吸困難や胸部圧迫感などの症状を引き起こす。 リハビリテーションを実施する上で、この胸水の病態生理と原... 2025-05-27
疼痛 慢性痛のリハビリテーション戦略 〜評価から介入まで〜 はじめに 「訴えは強いけれど、身体所見は軽い。これは一体どう捉えればいいのか?」 新人時代にそんな患者様を前に、戸惑った記憶がある。 痛みとは本質的に主観的な体験であり、単に“そこが悪いから痛い”という単線的な理解では到底足りない。 理学療法士や鍼灸師、柔道整復師など臨床家にとって、痛みの評価と介入は、常に“奥行きのあ... 2025-05-27
内科疾患 洞頻脈について 洞頻脈(sinus tachycardia)(図)は、洞結節が歩調とり(ペースメーカー)となっている洞調律が、交感神経の亢進や自動能の亢進によってHR>100bpmになった状態である。 ちなみに、臨床では洞頻脈のことを「サイナスタキ」と略して言うことが多い。 運動によってみられる洞頻脈は、運動による骨格筋の酸素需要... 2025-05-26
地域包括ケア 独居男性高齢者が支援を拒む背景とは? ――作業療法的視点から見る援助志向性の考察 作業療法士の白木望らは、男性独居高齢者が支援を回避する傾向を示す背景に、彼らが日常的に取り組む「作業」の意味や機能が関与していることを示唆している¹⁾。 彼らの研究は、要支援・要介護状態にある独居男性高齢者3名を対象に、個別の半構造化インタビューを通して、作業の「意味(mea... 2025-04-30
内科疾患 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン 先日(2025年3月末)、『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン1)』(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf)が発表された。 本ガイドラインの主な改訂点をいくつか紹介する。 ・旧版では『急性・慢性心不全診療ガ... 2025-04-30
リスク管理 高齢者の息切れ評価で押さえるべき視点とは? 高齢者における「息切れ」は、日常生活の質を大きく左右する重要なサインである。 階段を上る、布団をたたむ、買い物に出かけるなどの日常動作での息切れは、加齢に伴う身体機能の低下に加え、潜在する疾患の兆候である可能性がある。 呼吸困難は、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、貧血、腎不全など、さまざまな疾患に由来... 2025-04-30
リスク管理 がんになるとなぜ痩せるのか? がんを患うと、多くの患者が体重減少を経験する。 この現象は「がん悪液質(あくえきしつ)」と呼ばれ、単なる栄養不足ではなく、がん細胞による代謝の異常が主な原因である。 本記事では、がんによる体重減少のメカニズムについて解説する。 がん細胞のエネルギー消費 がん細胞は正常な細胞と比較して活発に増殖するため、大量のエネルギー... 2025-03-31
リスク管理 糖尿病足病変とは...? 糖尿病足病変とは、「神経障害や末梢動脈疾患と関連して、糖尿病患者の下肢に生じる感染、潰瘍、足組織の破壊性病変」と定義されている1)。 糖尿病足病変は、糖尿病神経障害による感覚鈍麻(感覚神経障害)、足の変形(運動神経障害)、皮膚の乾燥・角化(自律神経障害)と、末梢動脈疾患による血流低下(下肢動脈疾患、lower extr... 2025-03-31
転倒 足底知覚トレーニングって効果があるの? はじめに高齢になるほど筋力やバランス能力が低下し、転倒リスクが高まることが指摘されている。 特に後期高齢者では、身体機能に加えて足底から得られる感覚が衰え、立位や歩行が不安定になりやすい1)。 従来、筋力トレーニングや有酸素運動が主なリハビリテーション手法として用いられてきたが、足底への刺激を意図的に活用することで、バ... 2025-03-31
理学療法評価 肩関節の筋皮神経障害 筋皮神経障害は、肩関節や上腕の機能に影響を及ぼす神経障害のひとつであり、特にスポーツや外傷による肩関節周囲炎に伴って発生することが多い。 筋皮神経は腕神経叢の外側神経束から分岐し、主に上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋の運動を支配するとともに、前腕外側の感覚も担っている。この神経が障害を受けると、肩関節の運動制限や筋力低下、... 2025-02-27