つい先日、一般社団法人 日本糖尿病学会から『糖尿病診療ガイドライン2024』(以下、改訂版)が刊行された。
前版の『糖尿病診療ガイドライン2019』から約5年の月日を経ていたので、その内容には個人的に非常に楽しみであった。
そのため本稿では、筆者自身が私見で気になった内容(糖尿病の診断基準と運動療法)について紹介していきたい。
まずは、糖尿病の診断であるが、これは基本的には変更がなかった。すなわち、①糖尿病型を2回確認する(1回は必ず血糖値で確認)、②糖尿病型(血糖値に限る)を1回+慢性高血糖症状の存在の確認、③過去に「糖尿病」と診断された証拠がある。
これら①~③のいずれかに該当する場合に糖尿病と診断される。
次に運動療法では、2型糖尿病の血糖コントロールに、有酸素運動、レジスタンス運動が推奨される[推奨グレードA]との記載となった。
前版においても2型糖尿病患者に対する有酸素運動やレジスタンス運動の推奨は高く、特に有酸素運動とレジスタンス運動の併用することでより効果があるとの記載であったが、改訂版においては「併用」に関する記載が除かれている。
また、運動療法は1型・2型糖尿病にかかわらず、心血管疾患のリスクファクターを改善させ、特に有酸素運動は心肺機能を、レジスタンス運動は骨格筋量、筋力を向上させるため推奨される[推奨グレードA]。
前版では、1型糖尿病患者の心血管疾患のリスクファクターの改善について[推奨グレードB]であったのが改訂版では[推奨グレードA]に変更され、さらに1型糖尿病のみならず2型糖尿病患者も加えられている。
具体的な運動療法については、前版・改訂版ともに、その強度や頻度、時間、種類について変更がなかった。
つまり、有酸素運動は中強度で週に150分かそれ以上、週に3回以上、運動をしない日が2日間以上続かないように行い、レジスタンス運動は、連続しない日程で週に2~3回行うことがそれぞれ勧められ、禁忌でなければ両方の運動を行う。
もっと詳しく知りたい方あるいは診断基準や運動療法以外の改訂内容が気になる方は、一般社団法人 日本糖尿病学会のホームページ(https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=40)を参考にされたい。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。