BBSの特徴と臨床応用

今回は臨床で一度は行ったことがあるバランス評価、BBS(berg balance scale)の特徴と臨床応用について解説していきたいと思う。

いきなりであるが、読者の方々はバランス評価というと何を想像するだろうか。

TUG、片脚立位保持、閉眼立位、立ち直り・保護伸展反応、FRTなど、様々な評価が浮かぶかと思う。

様々な評価がある中で、今回解説するBBSはバランス評価を包括的に評価でき、かつ場所を取らない評価として有用とされており、学生から現在臨床に出ている方も評価をする方が多いのではないだろうか。

しかし、多く使用されている一方、BBSの評価結果の解釈としてカットオフを超えたから転倒リスクが少ない、超えていないから転倒リスクがある。このような解釈で終わってしまっている方も多いのではないかという疑問もある。

今回はそのような方々にBBSの特徴を改めて知っていただき、臨床に活用できるような内容にしたいと思う。

◎特徴―包括的な評価であるということ

そもそもバランス機能という用語は非常に広義であり、多くの要素が含まれている。

筋力、疼痛、筋緊張、姿勢反射、立ち直り反射、視覚、体性感覚、前庭感覚、注意、アライメント、可動域など…

考え出すとかなりの要素が出てくる。

そのため、片脚立位や閉眼立位といった評価だけでは、数多くあるバランス機能の要素のほんの一握りしか見えていないことが分かるかと思う。

よって、多くのバランス機能を評価できる包括的な評価バッテリーがバランス障害の問題発見に関しては有用となる。

その中でもBBSは多くの要素を含んだ評価として一般的となっている。

ではそのようなBBSが「どのようなバランス機能を評価」しているかについていくつか考えてみる。

閉眼立位と起立着座
前者は視覚遮断によるバランス要素、後者はある程度の筋力面のバランス要素

 ・タンデム立位とファンクショナルリーチ
前者は狭い支持基底面(足関節制御)でのバランス要素、後者は股関節制御、足関節底屈筋力などのバランス要素

床のものを拾う
前後重心移動、更には重心上下移動のバランス要素、大腿四頭筋の筋力面のバランス要素

 ・360度回転
股関節外転筋力、股関節回旋可動域、足部可動域などのバランス要素。

もちろんこれだけの要素ではないが、このようにBBSは多くのバランス要素を含んでいることが分かるかと思う。

よって、臨床で大事になってくるのは「どの評価項目が減点されているか」を確認するということである。

例えば、

起立着座やトランスファー、片脚立位保持に減点があれば、筋力面に問題があるのではないか。

閉眼立位に減点があれば、足底の表在感覚や位置覚に問題があるのではないか。

床のものひろいに減点があれば、大腿四頭筋の弱化や前後、上下重心移動時のバランス面に問題があるのではないか。

このように、減点項目を洗い出すことで、広義のバランス要素のどこに問題があるかがある程度解釈出来るかと思う。

後は、低下しているバランス要素を更に深堀りしていき、機能障害レベルへと落とし込み、アプローチに繋げていくことが重要となる。

投稿者
堀田一希

・理学療法士

理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。

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