内呼吸のメカニズムとリハビリテーション

呼吸リハビリテーションを行う上で、内呼吸・外呼吸のアセスメントは重要である。

息切れや持久力の低下、呼吸器疾患などを有する利用者のリハビリテーションを担当した場合は、内呼吸と外呼吸に関しての評価を第一に行うべきである。

それでは、内呼吸とはどのようなものであるか?

内呼吸
肺胞で酸素を受け取った血液によって酸素が心臓,肝臓,腎臓,筋肉などの組織に運ばれ、細胞の代謝反応により,二酸化炭素を生じるプロセスである。
特に、筋肉における有酸素性代謝が重要となり、有酸素性代謝の能力が低下していると内呼吸が不十分となり持久力の低下が生じる。
例 筋力低下・筋委縮による有酸素性代謝の低下

内呼吸とは別の視点で考えると、「効率よく酸素を利用してエネルギーを生み出す仕組み」であるといえる。

呼吸疾患の患者は、呼吸器系に何らかの疾患を生じることで息切れが生じる。

息切れは活動レベルを低下させるため、必然的に筋量の低下を招く。

筋量の低下は、有酸素性代謝能力を低下させ、無酸素系代謝を亢進させることになる。

無酸素系代謝は多くの二酸化炭素を発生させることから、換気が亢進し、息切れが増すことになる。

つまり、呼吸器疾患患者において筋量の維持・向上は大変重要なものとなる。

筋量の維持・向上のポイントは次のとおりである。
1)適度な運動
2)社会活動への参加
3)バランスの良い食事

これらの要素を満たすためには、①呼吸器疾患の緩解・治癒 ②息切れの改善が必要である。

つまり、内呼吸機能を改善させるためには、呼吸器疾患や息切れに対する積極的な治療やリハビリテーションが必要と言える。

逆に言えば、呼吸器症状や息切れがある程度、緩和されている利用者の場合は積極的に上記にあげた項目を行うべきである。

呼吸器疾患に限らず、脳血管疾患や運動器疾患でも症状は落ち着いているのに持久力の低下や息切れが生じる方がいる。

このような方は、一次障害である疾患に問題があるのではなく、筋量の低下が主たる問題となっている可能性が高い。

鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方で、呼吸器疾患の利用者にサービスをする方は、ぜひ、内呼吸についての評価も忘れないようにしてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デーサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師向けセミナー

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