呼吸困難とは何か?

呼吸困難とは何か?

 

呼吸困難を呈する利用者に出会うことはリハビリテーションの現場では珍しいことではない。

 

鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の皆さんは、呼吸器疾患、心疾患患者、精神疾患患者が呼吸困難を呈したり、呼吸困難になったエピソードがあったりすることに遭遇したことがあると思う。

 

それでは呼吸困難とはどのようなものなのだろうか?

 

実は、呼吸困難は主観的な感覚であり、客観的に評価することが困難である。

 

患者や利用者は呼吸困難を息切れと表現することが多い。

 

呼吸困難=息切れと考えても問題はない。

 

呼吸困難は主観的な感覚であると述べたが、具体的には「呼吸努力感」と言える。

 

低酸素や高二酸化炭素状態になると、頸動脈小帯、大動脈小体、肺・気道受容器などから延髄呼吸中枢にシグナルが送られ、それが大脳皮質感覚野に伝わり、空気の渇望感を生じさせる。

 

また、空気の渇望感により運動野より呼吸筋へ換気を上げるためにシグナルが送られ、その筋活動により「呼吸努力感」が生じる。

 

「呼吸努力感」に関与する脳としては帯状回、海馬、扁桃体などの大脳辺縁系である。

 

脳機能の部位が解明されれば、呼吸困難感の軽減のための薬剤の開発などが期待される。

 

呼吸は自律神経との関係も密接である。

 

特に、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の人はその影響を受けやすい。

 

副交感神経は気道を狭くし、交感神経は広げる方向に働く。

 

そのため、副交感神経が活発になる夜間や早朝は気道が狭くなりやすいため、息切れや努力換気などの症状が生じやすい。

 

呼吸困難感は主観的に感じるものであるため個人差も大きい。

 

そのため、疾患や検査データと呼吸困難感が一致しにない症例は多い。

 

よって、呼吸困難を訴える利用者や患者に対しては、主観的な呼吸困難感のレベルを評価する必要があると言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デーサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師向けセミナー

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