鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々の日々の臨床において膝関節に対しアプローチをすることは多いのではないだろうか。
今回は膝関節とはどのような関節であるのか?について述べていきたいと思う。
では早速膝関節の特徴について述べていきたいと思う。
股関節と足関節の間にある関節
- 構造的に回旋可動域に乏しい
- 構造的に不安定な関節
このような3つの特徴がある。
順に詳しく説明していく。
股関節と足関節の間にある関節
膝関節は見てわかる通りであるが股関節と足関節の中間にある関節であるため上からも下からも影響を受けやすい部位である。
変形性膝関節症を例に簡単に説明する。
膝関節というのは完全伸展位をとることで構造的な安定性を得ることができるため、立位で伸展位をとる必要がある。そのためには、股関節内旋・下腿外旋の運動連鎖が必要である
しかし、変形性膝関節症の人は股関節外旋位で制限を起こしているパターンが非常に多く、股関節内旋位をとれない。
そこで下腿を無理やり外旋位にすることで股関節を相対的に内旋位とし、膝関節を安定させようとする。
その結果、膝関節内側部にある組織に伸張ストレスや圧縮ストレスがかかってしまう。
このように変形性膝関節症は直接的な外傷ではなく、長期間ストレスがかかった結果、膝自体の構造が変形し、痛みとして症状が出現する。
そのため臨臨床において考えなければいけないポイントとしては、膝関節がどうして障害されたのかを評価していく事が大事である。
- 構造的に回旋可動域に乏しい
股関節や足関節は関節構造的には自由度の高い3軸性の関節であるが、膝関節は1軸性の螺旋関節である。
そのため屈曲・伸展の動きがメインであり、回旋の動きがわずかにしかない。
回旋の動きとしてはScrew home movementと呼ばれる関節最終伸展30°でみられる脛骨の外旋運動があり、これも膝関節の動きにはとても重要である。
関節構造的には自由度の高い3軸性の関節である股関節や足関節で回旋制限が存在すると、構造的に回旋可動域が乏しい膝関節で足りない回旋の角度を代償してしまい、本来持っている可動範囲以上の回旋ストレスがかかってしまい壊れてしまう。
- 構造的に不安定な関節
膝関節は股関節などと比べ周囲筋群の密度は少ない。
さらに、関節構造的には適合性が決して高いわけではなく、不安定な関節となっている。
その不安定性を補っているのが靱帯である。
関節の内側と外側に分けられ、これを見てもわかるように前後・内外側から強く補強されている。
もちろん靭帯だけでなく、筋肉による制御も重要である。
これらのような膝関節の特徴を理解した上で臨床において介入を行う事が重要であると考える。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、整形外科クリニックにて運動器疾患を中心に携わっています。
臨床では多くの患者さんの主訴が"痛み"であり、痛みを改善するために理学療法士としての基礎である解剖学・生理学・運動学を中心に評価・治療を行なっています。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。