
先日(2025年3月末)、『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン1)』(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf)が発表された。
本ガイドラインの主な改訂点をいくつか紹介する。
・旧版では『急性・慢性心不全診療ガイドライン』の表記であったのに対し、今回の改訂版では『急性』と『慢性』が除かれ、単に『心不全診療ガイドライン』へと変更になった。
これには、心不全治療において急性期からシームレスな治療が重要であることと、心不全は急性期と慢性期の明確な区別が困難であることの2点の理由からそのように変更された。
・心不全進展ステージにおけるステージA(心不全リスク)とB(前心不全)の記載内容が充実され、ステージAに慢性腎臓病(Chronic Kidney disease:CKD)が追加された(図1)。
心不全が2040年頃まで継続的に増加すると予測されることと、心不全の進展防止や早期治療の介入の重要性を考えてのことである。
・急性非代償性心不全の病態評価と治療について、心不全増悪(worsening heart failure)と非代償状態(decompensation)の定義の追加(表1)、また非代償性心不全から代償性心不全への移行期の管理についての知見・推奨が新規に追加された。
・急性期の運動療法・リハビリに関する記載がされ、心不全診療におけるリハビリの包括的な記述と推奨が追加された。
・心不全診療で問題となる併存症として、非血管系併存症の慢性腎臓病(心腎症候群)、貧血・鉄代謝、肥満、抑うつ・認知機能障害について、記載と推奨が追加された。
以上、改訂された内容を一部列挙したが、さらに詳しく知りたい方はホームページを参照されたい。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。
●参考資料
1)『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf)