協調性運動について

協調性運動とは、『合目的的かつ円滑に行われる運動』である。すなわち、ある課題を実行するときに、身体内の複数の要素を適切にコントロールし、効率的に遂行することである。

一般的に運動の発現は、①運動の欲求・動機の形成にはじまり、②運動戦略の形成、③運動プログラムの形成、④運動の実行といったシークエンスとなる。

①は、大脳辺縁系がその役割を担い、②は大脳連合野、③は運動野、大脳基底核および小脳、④は脊髄や末梢神経系、筋骨格系がかかわり運動が起こる。

さらに、実行された運動とその結果の情報は、各々の感覚系を介してフィードバックされ、次の運動が修正されるといったループが形成されている。

すなわち、これら運動の発現の過程やフィードバックとして重要な感覚系に障害が生じると、協調性運動が障害される。これが、(広義の)協調性運動障害ということになる。

したがって、小脳系の機能不全のみで協調性運動障害(狭義の協調性運動障害)が起こるわけではなく(図)、小脳系を含めた様々な原因によって協調性運動障害は起こる。

例えば、中枢神経系の障害では脳卒中による運動麻痺や筋緊張亢進、感覚障害、筋出力低下によるものや脊髄損傷による四肢麻痺(不全も含む)等、上位運動ニューロンが障害されることによって協調性運動障害が惹起される。

また大脳基底核の障害では、パーキンソニズムに代表される筋緊張の異常や不随意運動、姿勢反射障害等により動作を円滑に行うことが困難となる。

そして骨関節や筋骨格系の障害では、軟部組織や関節の痛み、靭帯損傷による関節の弛緩性など、筋収縮が骨格系に十分に伝わらず運動の協調性を阻害する等がある。

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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