臨床において重要なのは介入方法ではなく”評価"

臨床で、痛みや筋出力の低下など、ADLを獲得していく上でそういった問題点がある。

だが、問題だとは分かっていても、中々改善できない…こんな悩みが臨床でないだろうか。

・痛いのは分かるがどうしていいか分からない
・筋力運動を続けても全然筋力が上がらない
・何やっても良くならないから結局マッサージしかできない

この悩みの原因は「評価を丁寧にしていない」からである。

している!って声が上がるかもしれない。

私も以前はそう思っていたが、改めてちゃんと評価しようと思うと、前は如何にできていなかったのかが分かる。

今でもできているかと言われれば分からないが、考えが変わるきっかけになったのは、上記に挙げたような問題点の評価の仕方がわかったからである。

なので、今日は痛みや筋力低下などの機能障害を評価する方法について解説しようと思う。

リハビリテーションにおいて問題となることが多いのが、痛みや筋力低下、可動域制限。

これらがあるから、歩行や起立など各ADL動作が上手く遂行できないことが挙げられる。

こういった問題に対して、何が問題点なのか評価の上、そこに対してアプローチしていくわけだが、皆さんはどうやって評価しているだろうか?

・ガイドラインにこう書いてあるからこのエクササイズをする
・文献にこう書いてあったからこの方法が良いと思っている
・○○先生がセミナーでこう言っていたからそのまましている

これも100%間違いではないが、対象者に適した方法かというと疑問である。

何故なら、ガイドラインや文献に書いてあったとしても、あくまでそういう傾向があるというだけで、臨床で担当する患者さん全員に当てはまるかと言うと、絶対そうではない。

ガイドラインの方法で誰にでも良くなるのならみんなその方法を実践していますが、そうではない。

もちろん、ガイドラインを参考にすることは必須のことですが、あくまでもそれをベースにどう評価していくかが大事である。

私が重要視しているのは、「痛みや機能障害が改善あるいは悪化するポイントを見つける」ということ。

例えば、荷重時に膝が痛いという場合。

評価すべきは、「何故荷重すると膝が痛くなるのか」ということ。

それを評価しない限りは荷重時痛は中々取れない。

よくある間違いが、痛い部位が膝の内側だとすると、内側広筋や鵞足辺りをマッサージして、それで痛みが取れるという考え。

これも100%間違いとは言い切れないが、荷重時に痛い部位をマッサージしたとしても、荷重時に痛いのはあくまで結果であることを考えなくてはいけない。

その部位が元から痛かったから、荷重時に痛いと感じるわけではない。

もしそうだった場合、荷重時じゃなくても膝を非荷重時に動かし時も痛いかもしれない。

そのため、ここで深堀るべきは、荷重時の膝である。

・荷重は足底の内側に荷重するのが良いのか、外側に荷重するのが良いのか
・股関節は内旋位で荷重するのが良いのか、外旋位で荷重するのが良いのか
・膝は外反が良いのか、内反が良いのか

挙げればきりがないが、これだけでも膝にかかるストレスは変化し、それで痛みが良くなったり悪くなったりするのなら、何かしら問題点がそこに隠れているはずである。

例えば、股関節内旋位で痛みが軽減するとしたら、内旋位を作るためには何が必要か。

・小殿筋の筋出力や周囲組織との滑走性
・中殿筋や大殿筋、外旋筋群の短縮や過緊張がない
・内旋位で荷重した際の体幹の安定性
・足関節の内外反の動揺がない

など、これも挙げればきりがない。

きりがないが、こうしてどんどん掘り下げて考えていくことが重要である。

逆にここに時間をかけないと、問題点が分からないので何をしていいか分からなくなるのも仕方ない。

なので、評価に思いっきり時間をかけて、まずは問題点の特定に全力を尽くしてほしい。

投稿者
堀田一希

・理学療法士

理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職。現在はデイサービスの管理者をしながら自治体との介護予防事業なども行っている。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを持って介護と地域の境界線を曖昧に、かつ、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。

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