モニター心電図の基本

モニター心電図は、『不整脈』を評価・検出することができ、リスク管理をする上で欠かせないツールである。

したがって、患者の状態が変化しやすい様々な疾患の(超)急性期や心臓リハビリテーション等の場面で多用されている。

ここでひとつ断っておくが、モニター心電図はあくまで『不整脈』を評価するために使用するものであり、心筋梗塞や狭心症に代表される虚血性心疾患の評価等には不向きである。そのため、モニター心電図を過大評価せず、限界を知った上で波形を読むことが重要と考える。

モニター心電図の構造は、送信機および送信機からでている3色の誘導コード、すなわち赤色の陰極コード、(-)緑色の陽極コード(+)、黄色のアースからなる。

この3本のコードに裏がシール状になった使い捨ての電極を接続し、患者の前胸部に貼り付ける。そうすることで、患者から離れた場所に設置したモニター画面にて、心電図波形を表示・記録することができる。

電極を張り付ける位置は、(緑)の陽極コード(+)を心尖部付近に、(赤)の陰極コード(-)を右鎖骨上に、(黄)のアースを右鎖骨上に付けるのが一般的かと思われる(図1)。


これにより、刺激伝導系を興奮する心臓の電気活動(右上方から左下方へ興奮するベクトル)を、(緑)の陽極コード(+)に近づいてくる波形として捉えることができる。心電図波形としては、陽極コード(+)に近づくので上向きの波形となる。逆に陽極コード(+)から遠ざかるベクトル(陰極コード(-)に近づいていくベクトル)は、下向きの心電図波形となる(図2)。

3つの電極を何となく胸部に貼り付けてみても、それらしい心電図波形はみられる。しかし、正確に不整脈の評価やリスク管理をすることを考えれば、いかに正確に電極を貼り付けることができ、再現性をもって評価できる方が望ましいと考えられる。

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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