体幹機能は歩行、起立、リーチ動作など、各種動作において重要な機能なのは言うまでもない。
また、体幹機能が土台となって、上肢のリーチや下肢の振り出しなど、上下肢の筋出力が発揮されるため、体幹機能が機能的に働くことは必須である。
そんな重要な体幹機能を座位から高めるための介入方法を今日は考えてみる。
まず、座位のメリットとして大きいのは、「坐骨からの床反力」を感じられることである。
これは立位や臥位にはない座位ならではのメリットだと思うので、積極的にこれを利用していくべきである。
そのためには、床面に対して坐骨が垂直に起きる必要がある。
骨盤後傾位の姿勢アライメントであれば、股関節屈筋や腰部伸筋の働きで骨盤を前傾させることが必要になる。
例えば、
・仙骨カウンターニューテーションを誘導しつつ骨盤の後傾を促す
・中殿筋や大殿筋を把持して殿筋群による骨盤の安定化を図った上で骨盤前傾を誘導する
・股関節屈筋群の緊張or短縮を骨盤後傾による遠心性の動きを学習させた上で、多裂筋など腰部伸筋群による骨盤前傾を促す
・腹直筋の長さを徒手的に作りつつ、骨盤前傾を促す
・殿筋群の長さを徒手的に作りつつ、骨盤前傾を促す
などが介入としては考えられる。
私が大事にしているのは、アライメントだけ整えるのではなく、整えたアライメントで動ける範囲を拡大していく、活動するべき筋活動を促すということである。
アライメントがきれいに整っても、それが動作に直結するわけではなく、獲得したアライメントを使えるような動作を身につける必要がある。
そのためには、修正したいアライメントの方向へ筋肉の長さを作ったり、筋活動を促したりしつつ、アライメントの修正を図っていく方法が良いのかなと経験的には感じている。
座位の場合は「床反力を感じる」という点に焦点を当て、坐骨への感覚入力を適切におこなえるようアライメントを修正、坐骨への感覚入力を積極的に進めることがポイントになる。
そのための手段が上記に挙げたような方法である。
方法は1つではないので、色々試しつつ最適な方法を探していくことが臨床では重要となる。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。