本稿ではなるべくシンプルに腰痛について考えるための捉え方をまとめてみる。
多裂筋が、椎間板が、椎間関節が、カップリングモーションが、など、細かく見ようと思えばどれだけでも細かく見ることはできるが、思考が複雑化しすぎると、目的が曖昧になってしまい、結果あまり良くならないことも多々ある。
なので、まずはなるべく思考をシンプルにして考えることが重要だと思っている。
本稿はそのための参考になればと思う。
大きく2つに分ける
腰痛を大きく2つに分けると以下の2つになると考えている。
シンプルであるが、どちらかに当てはまる方がほとんどであり、まずはどちらに当てはまるのかを分類する。
もちろん、どちらにも当てはまる方もいるので、必ずどちらかに当てはめようとはしなくて良い。
屈曲で痛い場合
腰部における屈曲という動きを簡単に分解してみる。
関節と軟部組織を考えると上記のようになる。
椎間関節の後方が離開するというのは、椎間関節で言うと緩みの肢位である。
なので、関節としては不安定な状態となる。
不安定な関節を守るために、本来であれば靭帯による制動や筋収縮による制動が必要となる。
ですが、反復した屈曲動作、慢性的な屈曲姿勢など、後方組織が伸張されると制動能力が低下してしまう。
戦略としてはシンプルに、「締まりの肢位になるよう屈曲で短縮する組織を緩めよう」となる。
主な腰椎屈曲を起こす筋肉は以下の3つである。
伸展で痛い場合
腰部における伸展という動きを簡単に分解すると以下のようになる。
椎間関節の後方が圧縮するというのは、椎間関節においては締まりの肢位となるということ。
なので、椎間関節が安定する。
良く言えば安定ですが、悪く言えば可動性が要求される場合には適していないということが言える。
例えば、腰椎が伸展した状態で、腰椎の回旋や側屈を過剰に要求されると、骨や筋肉、靭帯に物理的なストレスが加わり、結果として疼痛を起こす。
また、腰椎が伸展位だと脊柱起立筋などの伸筋群が常に緊張した状態となり、筋スパズムを起こして疼痛を起こすことも考えられる。
なので、戦略としては「緩みの肢位になるよう伸展で短縮する組織を緩めよう」となる。
主な腰椎伸展を起こす筋肉は以下の3つである。
介入方法は何を選択しても良い
自分の中で理論がしっかりとしていて、評価ができればあとは方法は何でも良いと筆者は考える。
徒手でもストレッチでも筋膜リリースでもピラティスでもヨガでも。
介入したい組織にきちんと介入できて、かつ効果が現れるのであれば、特別な手技に拘る必要はない。
対象者に取り入れやすい方法で実践あるのみである。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。