皆様は自分の姿勢が良いか悪いか、普段から気にしているだろうか?
そもそも、良い姿勢とは何だろうか?
一般的に言う良い姿勢が、必ずしも動作においても良いかと言うとそうではない。
ここで言う良い・良くないというのは、見た目のこともあるが、機能的に良いか悪いかという視点も含む。
良いか悪いかを決めるには、指標となる機能を基準にしなくてはいけなく、今回は肩関節を例に考えてみようと思う。
例えば、肩関節障害の方を担当する際、肩関節だけ見ていても良くならないというケースは多くはないだろうか?
狭義の肩関節は、肩甲上腕関節。
広義の肩関節は、上記に加えて胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲胸郭関節、第2肩関節など複数の関節が含まれる。
広義の肩関節に加えて、臨床上かなり重要だと感じている部位が胸椎、胸郭を含む「体幹」である。
肩関節の屈曲を考えてみると、90度を境に関与する関節が変わる。
90度以上では、肩甲上腕関節以外の要素が多く関わっていることがわかる。
肩関節の屈曲に伴い、腰椎・胸椎が伸展、胸郭も形状を変え、肩甲骨、上腕骨がそれに合わせて連鎖して動く。
つまり、姿勢の影響を多分に受けるということが考えられる。
なので、良い姿勢であれば、肩関節90度以上の挙上の機能に良い影響を及ぼす可能性があるということである。
では、体幹の伸展が起こらないとどうなるのか?
例えば、骨盤前方移動、腰椎の過伸展、胸椎の屈曲、下位頚椎の屈曲というような姿勢の場合。
腰椎が既に過剰に伸展して重心が後方化しているので、胸椎の伸展を出そうとすると後方へベクトルが働き、倒れないように腹筋群で努力性に制御しなくてはいけない。
既に伸展しているのにさらに腰椎の伸展で代償するか、肩甲帯を過剰に挙上して代償するかのどちらかが多いパターンかと思う。
それによって、腰部、肩甲帯周囲に過剰なストレスとなり、痛みや可動域制限の原因となる。
実際の患者さんでもこのような方がおられるはずですが、ここで重要なのはストレッチやマッサージでいくらほぐしたとしてもまた元通りになってしまうということ。
何故制限があるのか、痛みがあるのか、何故そうなってしまったのか。
これを考えることが大事である。
これら3つの要素を広義の肩関節に加えて評価していただきたい。
簡単な評価方法としては、以下の通りである。
肩関節のリハビリをずっと続けているけどあまり変化がない。
こんな方はこれら3つのどれか、あるいは全てに制限がある可能性がある。
一度評価してみてはいかがだろうか。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。