長引く骨の痛みの正体 "骨挫傷"

転倒で手をついた、膝を打ったなどの後に、レントゲン写真を撮影したが、骨折はなく安心したが、その後の痛みがなかなか取れない・・・このような患者は多い。

このような場合、骨挫傷が疑われる。

骨挫傷とは聞きなれない言葉であるため、その病態を知らないリハビリ職種も多い。

骨挫傷とは大きな外力によって骨内部の組織が損傷し出血することである。

いわゆる、骨内部の内出血と言える。

骨挫傷は骨そのものの連続性は維持されており、骨折には分類されない。

骨挫傷は病理学的には骨髄浮腫や出血となり、骨梁の微細骨折と言える(図1)。

しかし、骨皮質が破綻していないので単純X線像では描出不可で、MRIやCTで発見することができる。

骨挫傷になると、骨内の浮腫や出血により骨内圧が増加するため、疼痛が生じやすい。

骨内の浮腫や出血は1か月から3か月ほどの期間を経て吸収され、吸収にともない疼痛も軽減していく。

ただし、骨挫傷の疼痛の症状が治まったとしても、MRIにて骨髄浮腫の消失には3か月以上必要と言われている。

骨挫傷の治療の基本は安静となるが、可及的な治療を促す場合、超音波が有効とされている(図2)。

超音波骨折治療法は、低出力超音波パルスという微弱な超音波を患部に照射する。

超音波による機械的振動が細胞膜に刺激を与え、その結果としてのコラーゲン合成、タンパク合成、維芽細胞の増殖を促進される。

打撲をした後に、レントゲンで骨折は認められないが、痛みが引かない場合は骨挫傷を疑い、MRI検査などで再評価をした方が良いだろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デイサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。

 

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