感覚・認知機能から考える転倒予防に必要な生活環境整備

本稿は感覚・認知機能から考える転倒を予防するために必要となる生活環境整備についてお話しする。

自宅環境は多岐にわたるが、今回は手すり・床面・段差や階段・杖・照明に着目したいと思う。

●手すり

手すりにおいて着目するべきポイントは色である。

ご家族の意向や見た目などを考慮すると、どうしても家具と調和する素材・色にしたい。
しかし、転倒予防の観点から見るとぜひ違う色にする必要がある。

なぜか?
高齢者の方は加齢により視覚機能や認知機能などが低下しており、下地に手すりが紛れてしまい見えにくくなってしまったり、夜間帯の暗い時間に手すりを認知できない可能性が高くなるからである。

その結果、転倒リスクが高まってしまう。

では何色がいいのか?

黄色・緑色・赤色の3つで夜間帯を想定してみる。

見た目的には黄色か緑色あたりが印象がいいと感じる方も多いかと思う。

しかし実際暗い環境にしてみると、一番認識しやすいのは赤色であり、もし手すりを認知しやすい状況にするには発光色のテープか赤色のテープをおすすめする。

●床面とカーペット

感覚・認知機能から考える床面とカーペットの着目すべきポイントは図6の3つのポイントである。

床材自体を大きく変えることなどが現実的に厳しい場合、上記のようなポイントを整備し転倒リスクを減らしていく必要がある。

●段差と階段

感覚・認知機能から考える段差と階段の着目すべきポイントは図7の2つのポイントである。

ここでも重要となるのが、色合いなどを変更して視覚的に何か違うということを認知させることであり、何か転倒のリスクがあるということを当事者の方が認知できる方法を考える必要がある。

●杖

感覚・認知機能から考える杖の着目すべきポイント図8の2つのポイントである。

機能的に杖を選定するのはもちろん重要となるが、実際に自宅で使う際に考えられるリスクを考慮しながら選定する必要がある。

・照明

感覚・認知機能から考える杖の着目すべきポイントは図9の3つのポイントである。

夜間帯の転倒はかなり臨床でも遭遇するかと思う。

この時に重要となるのが照明であり、輝度や点灯の仕方など少し細かく評価していくと転倒リスクを軽減することができる。

以上のような点をぜひ臨床でも着目していただきたい。

投稿者
堀田一希

・理学療法士

理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師向けセミナー

リハビリマスタースクールでは鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師向けのセミナーを定期的に開催しております。セミナーの詳細はこちらをご覧ください(株式会社ワークシフトのサイトに移動します)

おすすめの記事