
社会的フレイルは、超高齢社会における日本にとって非常に大きな課題であることは間違いない。
社会的フレイルというのは、例えば独居や老老介護、社会参加状況、他者とのかかわりが少ないといった場合にそうであるとされる。
さらに社会的フレイルが厄介なのは、要支援・要介護認定の新規発生と関連していたり、身体的フレイルをも惹起させる要因になることであろう(詳細は以前投稿した「社会的フレイル」を参照)。
しかし『社会的』な問題は、人的・物的な環境要因や経済状況までを含むことから、社会的フレイルを定量的に評価することは容易ではなく、現在までに標準的な判定基準(評価方法)がないのが現状である。
現在、本邦では社会的フレイルを評価するにあたり、有用性の高い2つの評価ツールが用いられているので紹介する(表1、表2)。
どちらの評価ツールも0項目該当の場合を『社会的ロバスト』、1項目該当する場合を『社会的プレフレイル』、2項目以上該当する場合を『社会的フレイル』と評価する。
どちらにも共通している項目は、独居、社会参加、社会的ネットワークであり、他に経済状況も含まれている。評価項目には、そもそも可変的要因と非可変的要因があるため、それらを区別し、介入することが重要となる。
すなわち、いちセラピストが独居や経済状況(非可変要因)へ介入することは困難であるため、社会参加や社会的ネットワーク(可変的要因)に対して介入することで、社会的フレイルを予防・改善することが望まれる。
引用文献)
1)Makizako H, Shimada H, Tsutsumimoto K, et al.: Social frailty in community-dwelling older adults as a risk factor for disability. J Am Med Dir Assoc 16(11): 1003 e7-1003 e11, 2015
2)Yamada M, Arai H: Social frailty predicts incident disability and mortality among community-dwelling Japanese older adults. J Am Med Dir Assoc 19(12):1099-1103,2018
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・循環認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導士
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。