肩関節 関節唇損傷について

●肩関節 関節唇損傷とは

肩関節は上腕骨の骨頭と肩甲骨の関節窩で構成されている。

関節窩の面積は骨頭の25%~40%しかないため可動域という利点と不安定性という不利を有している。

そのため、関節窩の辺縁に付着する軟骨である関節唇が、接触面積を広げ、かつ、関節を深くすることで肩関節の安定化させている。

関節唇は前上方、後上方、前下方、後下方に区分される(図1)。

特に損傷が多いのは上方と前方の関節唇である。

上方関節唇損傷は投球動作やバレーボールのアタックの動作などの上肢挙上位で肩関節外旋、水平伸展をした時や、投球動作時のフォロースルー時に上腕二頭筋長頭に伸長負荷が生じ、付着部である関節唇が剥離することで生じる。

そのため、上腕二頭筋が収縮した時や肩関節挙上位で内旋・外旋をした時に疼痛が生じる。

前方関節唇損傷は肩関節前方脱臼の合併症として生じることが多い。

前方関節唇損傷では前方不安定性の症状が顕著となる。

肩関節関節唇損傷の患者は、上肢を動かした時の肩の不安定感(肩が外れそう、音が聞こえる)の訴えることが多い。

また、徒手的に上腕骨を前後左右に動かした時にも明らかに健側より動揺していることが確認できる。

単純レントゲンでは関節唇損傷の診断でできないため、MRIの検査が必須となる。

●関節唇損傷の治療

関節唇損傷の直後は、疼痛が強いため安静と投薬による鎮痛を図る。

疼痛の強度が増加する場合は、ステロイド注射を行うこともある。

一度、損傷した関節唇は自然に治ることはない。

そのため、関節唇損傷による関節不安定性に対する運動療法が重要となってくる。

回旋筋腱板・大胸筋・広背筋などを筋力強化することで不安定感を軽減する必要がある。

特に肩関節の内旋・外旋の筋力強化を長期間にわたり地道に行うことが重要である。

ただし、関節唇損傷の度合いが強い場合は、関節鏡視下にて手術を行う必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デイサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。

 

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