
今回は片脚立位について述べたいと思う。
片脚立位は機器なども要らず手軽な評価であることから行っておられる先生方も多いのではないかと思う。
では片脚立位とは何を評価しているのだろうか?
片脚立位時の身体の反応、バランスの取り方などを評価するのも重要となる。
しかし、身体の反応、バランスの取り方などはあまり客観性がない。
どういうバランスが良くて、どうなったら良くなっていて、どうなったら悪くなっているのだろうか?
このようなことを考えると片脚立位でよく取り上げられる客観性むき出しのものが一つある。
それは"片脚立位時間"である。
片脚立位時間について論文を交えながらお話ししていく。
片脚立位時間
こちらでは片脚立位時間と下肢筋力が相関があったと言っている。
特に10秒未満で筋力と相関しており、10秒を超えるとバランス能力の方が関与してくるのではないかと言われている。
こちらの報告でも筋力の返却立位時間は相関を示しているとのことであるが、一定の筋力を超えると示さなくなったと書かれている。これは上述のものと同様である一定を越してくると筋力というよりもバランス能力といった面の方が影響を及ぼすのかもしれない。
こちらの論文では片脚立位15秒以上だと全員が歩行自立しており、歩行自立のカットオフ値は4.3秒だと言われている。
ということは片脚立位5秒は出来ないと歩行の自立は少し悩ましいかもしれない。
他にも色々と調べたが結局のところ一定の水準までは下肢筋力と相関しているが、それ以上では筋力以外の要素が深く関わってくるのではないかというのが多い。
歩行自立とのカットオフに関しても、3秒台のものもあった。ただ、それだけで判断はできないのでなんとも言えない。歩行自立に関しては膝伸展筋力とかの方が多く報告もあり、そちらの方が独立した歩行自立の予測因子として考えられているようである。
片脚立位の臨床活用その1
・10秒以下では筋力がそもそも足りないと考える。
・歩行自立には5秒程度は欲しい。
上記2点は概ね取り入れても差し支えないと考える。
では、次に片脚立位でのバランス応答について考えていきたいと思う。
片脚立位での反応
片脚立位時の骨盤傾斜と歩行時のHC〜MSと関連していたとのことである。
もちろん全てにおいて同じ傾斜が起こるってわけではないが、動的・静的の差はあるにしても片脚にに体重を寄せるという共通項があるので参考にすることは重要ではないかと思う。
あとは動的エクササイズの前に静的エクササイズを行ったりとかも出来る。
こちらでも似たような結果が出ている。関連はあるが、複雑な動作になると片脚立位だけではどうにも予測できないとゆうことである。
右片脚立位で体幹を右回旋させた場合:右大腿筋膜張筋の活性化、大臀筋による後傾制動
右返却立位で体幹を左回線させた場合:右大腿筋膜張筋の抑制、右中殿筋の活性化、大臀筋による前傾制動
と報告している。
普段の歩行姿勢でクセになっている動きで使われる筋緊張が高まってしまうので、1つの予測が立ってくる。
こちらはバランスクッション上座位能力が高い方が片脚立位時の重心動揺が小さかったと報告。ということは単純に考えると体幹機能が片脚立位にも影響すると考えられる。
少し簡単にまとめる。
片脚立位の臨床活用その2(まとめ)
・片脚立位時の骨盤傾斜等の反応は歩行時にも出ることがある。
・体幹機能と片脚立位が関連する。
さらに「その1」と「その2」をまとめると。
片脚立位から分かること
・10秒未満だとそもそも下肢筋力が足りない。
・10秒を超えてくると体幹機能とか他の要素も絡む。
・歩行自立には5秒は欲しい。
・片脚立位時の反応(クセ)が歩行時に出ることもある。
今回片脚立位を客観的に考えていくとこの辺が重要となってくる。
片脚立位時の骨盤や体幹の反応に関しては「参考になる」程度かなと思うが、ぜひ各論文に目を通してみていただけると幸いである。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。