肝臓リハビリテーションについて

2023年年428日に一般社団法人 日本肝臓学会(https://www.jsh.or.jp/medical/)において‘‘肝臓リハビリテーション’‘の指針が公開された。

その内容を大まかに要約すると、
1.肝臓リハビリテーション(以下、肝臓リハ)の定義
2.肝臓リハの対象疾患
3.各疾患に対する運動療法の内容
などが記載されている。

まず、肝臓リハの定義であるが、『肝臓疾患に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、栄養療法、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラム』とある。

さらに、『脂肪性肝疾患、肝硬変患者および肝癌患者の肝機能を改善、患者さんの予後と生活の質(QOL)の改善を目指すためには、サルコペニアの改善を目指した肝臓リハの適切な実施が必要不可欠』であると続いている。また肝臓リハの対称疾患は、上記にもあるように、脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)、肝硬変および肝癌が挙げられている。

また、これらの疾患にはサルコペニアが高頻度に合併することから、これら疾患+サルコペニア合併患者も含まれる。

各疾患の運動療法の内容は、脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)に対しては有酸素運動とレジスタンス運動が推奨されている。

肝硬変に対しては運動療法と栄養療法がサルコペニア合併患者も含めて効果を認めているようである。ここでいう運動療法は、恐らく有酸素運動のことと思われる。

肝硬変の運動療法を実施する上では、静脈瘤や脳症、脱水といった合併症の管理もリスク管理上必要である。

肝癌に対しては運動療法の有効性が明らかになりつつある一方で、まだ十分なエビデンスが確立していない現状である。

内部障害を主に対象としているセラピストは、脂肪性肝疾患や肝硬変に対する基本的治療としての運動療法が、これら疾患の病態を改善することが明らかになってきている『肝臓リハ』の今後の動向が非常に気になるのではないだろうか。

より詳細な内容を知りたい方は、日本肝臓学会のホームページを参照されたい。

投稿者
井上拓也


・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。

今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

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