
転倒の危険性が高まる薬剤(以下、転倒危険薬)を患者が服用していることにより精神的機能・運動的機能が障害されるため、バランス能力が低下し、転倒の危険性が高まる。
神経疾患患者では疾患の治療や副作用の予防のために転倒危険薬を服用している場合が多い。
転倒危険薬の具体例として、睡眠薬や抗不安薬、パーキンソン病治療薬などが挙げられる。
これらの薬剤は、眠気やふらつき、注意力の低下を引き起こす可能性があるため、注意する必要がある。
では転倒危険薬に関してどのように対応していくことが重要か。
方法の一つとしては転倒危険薬について他職種、患者、家族に周知するとともに見直しを行うことが重要であると考える。
①他職種へ周知する
神経疾患患者の入院、利用開始時に転倒危険薬の服用の有無を確認し、その情報をカルテに記載する。
また、多職種カンファレンス時にも周知を行う。他職種に対して転倒危険薬の服用の有無を情報共有することで、薬剤による転倒リスクへの意識をスタッフ間で高められるようにする。
②患者・家族に指導を行う
患者様が転倒危険薬を服用している場合には、患者・家族に「転倒・骨折予防手帳」などを用いて薬剤指導を実施することも有用である。
薬剤が転倒要因の1つであることを患者・家族に認識してもらい、転倒への注意喚起を行う。
③転倒危険薬を見直す
神経疾患患者では、睡眠薬などの転倒危険薬が漫然と継続投与されている場合がある。そのため、年齢や身体の状態変化に応じて使用薬剤が適正であるか他職種と連携してアセスメントを行い、必要に応じて転倒危険薬を見直すことが重要である。
転倒予防を考える際にはぜひ薬剤に関しても考慮していただきたい。
投稿者
堀田一希
・理学療法士
理学療法士免許取得後、関西の整形外科リハビリテーションクリニックへ勤務し、その後介護分野でのリハビリテーションに興味を持ち、宮﨑県のデイサービスに転職する。
「介護施設をアミューズメントパークにする」というビジョンを掲げている介護施設にて、日々、効果あるリハビリテーションをいかに楽しく、利用者が能動的に行っていただけるかを考えながら臨床を行っている。
また、転倒予防に関しても興味があり、私自身臨床において身体機能だけでなく、認知機能、精神機能についてもアプローチを行う必要が大いにあると考えている。そのために他職種との連携を図りながら転倒のリスクを限りなく減らせるよう日々臨床に取り組んでいる。