
フレイルは、身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイルといった多面性を有していることが1つの特徴である。
そのうち、近年ではコロナ禍によって、外出機会の減少や他者とのコミュニ-ションの減少、グループ参加の制限、地域開催のイベントが中止になるなど高齢者において社会的フレイルになるリスクがますます進行している。
元々、独居であったり老老介護であったりする場合には、よりそうであるといえる。
社会的フレイルとは、家族構成(独居)や居住環境、社会参加状況、家族・友人および近所の人とのかかわり、経済状況などの乏しさなど、社会的に脆弱な状態とされる。
社会的フレイルは、身体機能に問題がない場合においても、それを有していれば転倒や入院、要介護状態、死亡といった有害健康転帰を招くことがわかっている。
また、社会的フレイルは高齢期における心身機能の低下を加速させる要因となる。すなわち、社会的フレイルが身体的フレイルを引き起こす一因となる。
これら両者は、それぞれが相互に影響し合い悪循環を招くことで、より身体的にも社会的にも脆弱な状態へと陥っていく。
社会的フレイルの予防・対策としては、近隣住民との交流(いわゆるご近所付き合い)や社会参加の促進をしていくことである。
ご近所付き合いでは、あいさつをするだけの付き合いでは予防効果としては不十分とされ、あいさつしてから立ち止まって立ち話をするまでの関係性を築くのが良い。また、社会参加の促進では、通いの場やカルチャー教室、ボランティア活動、喫茶店、町内会などによる参加を促す。
場合によっては、就労やシルバー人材センターを利用することも良いとされる。
これらの社会参加を上手に促進するためには、年齢や男女の特性、嗜好などを考慮することと、その地域において実施している社会参加の情報を可能な限り多く集め、それらを情報提供することである。
社会参加が積極的になると、社会的フレイルの予防だけでなく、上記した悪循環が逆に好循環となり、身体的フレイルにも良い影響を与えることとなる。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。