
呼吸器障害患者のリハビリテーションにおいては、「患者の急変」のリスクを常に予想・管理しながらリハビリテーションを進める必要がある。
患者の呼吸状態をバイタルサインやフィジカルアセスメントから評価し、急変状態と判断すれば躊躇せずに救急コール・ドクターコールをしなければならない。
臨床でよく見る呼吸器異常の原因は、圧倒的に肺炎が多い。
肺炎を予想するためには、現病歴、嚥下障害の有無、聴診、発熱の有無、痰の有無の確認が必要である。
特に発熱、痰、聴診にて水泡音を認めた場合は肺炎が起こっている可能性が高い。
在宅などで上記の症状が見つかった場合、可能であれば医療機関にて確定診断を受けることが望ましい。
医療機関では喀痰の検査、胸部レントゲン写真やCTを実施し、確定診断に至る。
肺炎の一般的な治療としては、肺炎の起炎菌に対する抗生剤の投与や酸素吸入である。
肺炎は換気障害ではなく、ガス交換障害であることから人工呼吸器を使うことは稀である。
ただし、急激な低酸素状態や意識障害などが併発した場合は、人工呼吸器を使用する場合もある。
一般的には、中等度レベルのガス交換障害では高濃度酸素療法を実施し、肺炎に罹患していない肺胞を活用して、血液の酸素化を図っていく。
経皮的酸素飽和度が90%以上を安定して維持できるようになってくれば、座位、立位などを開始する。
ただし、肺炎後は一回換気量、筋量低下などが生じていることから筋における酸素消費の効率性が低下していることから、酸素吸入や運動負荷の調整などが必要となることが多い。
毎年、肺炎は高齢者の死亡原因の3位~4位となっている。
リハビリテーションやケアに関わる方はかならずと言っていいほど、肺炎患者に出会う。
しかし、肺炎や呼吸の生理学をしっかりと学んでいれば間違った対応をすることは少ない。
投稿者
高木綾一
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デーサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。