
サルコペニアと骨粗鬆症との関連性は強いとされる。
サルコペニアは、単に加齢性の骨格筋量減少を示す概念ではなく、加齢に関わらず骨格筋量減少と筋力低下、身体機能低下がみられる状態のことをいう。
また、骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である。
骨粗鬆症による骨折の発生部位としてよく知られているのが、大腿骨近位部骨折・椎体骨折(圧迫骨折)・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位部骨折である。
サルコペニアによって活動量が低下すると、骨量の低下を招くこととなり骨粗鬆症の原因となる。
逆に、骨粗鬆症により骨折を受傷すると、活動量が著しく低下することでサルコペニアの発症リスクとなる。
実臨床においても、高齢患者で筋力が低下し活動機能も低下している方が、骨密度は高いということはあまり考えにくいのではないだろうか。
そのため、サルコペニアと骨粗鬆症は密接に関連し合い表裏一体であるとも考えられている。
このようにサルコペニアと骨粗鬆症の両方を併存している場合を『オステオサルコペニア』と呼ぶ。
両者は先述したように低活動が引き金となり、互いに悪影響を及ぼす以外に①加齢に伴う筋タンパク同化ホルモンの低下、②性ホルモンの低下、③ビタミンD不足、④力学的負荷(荷重)の減少など共通する発症要因が多いとされる。
すなわち、発症要因が重複することからサルコペニアは骨粗鬆症を合併し、また逆に骨粗鬆症はサルコペニアの発症リスクとなる可能性が高いのである。
そのため、サルコペニアの存在は骨粗鬆症性脆弱性骨折を起こす要因となる。
投稿者
井上拓也
・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
・サルコペニア・フレイル指導士
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。