老化について学ぼう!

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の対象としている患者は、その大半は高齢者が占めているのではないであろうか。

そこで本投稿では、『高齢化』すなわち『老化』について少し詳しく述べていく。

まず老化とは、「成熟期以降に加齢とともに各臓器の機能、あるいはそれらを統合する機能が低下し、個体の恒常性を維持することが不可能となり、ついには死に至る過程」をいう。

この過程で生じる様々な現象を老化現象といい、各種器官・臓器の機能低下が含まれる。

老化において重要なことは、成熟期以降に起こる各臓器の機能低下によって、生理機能の低下が惹起され、“恒常性の維持が困難”となることである。

恒常性(ホメオスタシス)とは、生体が外部環境の変化においても内部環境は一定に保持しようとする働きのことであり、生理学上、生体の制御機構において最も重要な機能である。

ホメオスタシスの代表的なものとしては、筋タンパクの代謝や呼吸・循環における代償、酸塩基平衡、体温調節、ホルモン分泌調節(インスリンによる血糖コントロール、骨代謝 etc)等である。

このホメオスタシスが破綻することは、すなわち身体的予備能力の低下が起こることの背景となる。

そのため、身体組成の変化(筋肉量の減少、脂肪量の増加、骨密度の低下)やエネルギー産生/消費の不均等(活動量の低下、食事摂取量の低下)、神経変性(神経細胞の減少)等から、様々な病気や感染症に罹りやすくなるのである。

こういった様々な病気・障害に罹患しやすくなることを『老年症候群』という。

代表的な老年症候群は、誤嚥、歩行障害・転倒、認知機能低下・せん妄、泌尿器疾患、睡眠障害、食欲不振・栄養失調、褥瘡などが挙げられる。

以上、老化の定義と種々の機能低下によって起こるホメオスタシスの破綻、老年症候群の概要について述べた。高齢者には、老化によって生じる高齢者特有の問題がある。

これらの特徴を理解した上で、高齢者の臨床に当たっていただければ幸いである。 

投稿者
井上拓也

・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導

理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。

 

 

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