
柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の方の中には、軽度者と重度者の関わり方に悩んでいる方は多いのではないだろうか。
慢性期のリハビリテーションに携わる人は軽度者と重度者に対するリハビリテーション技術を取得する必要性が高い。
慢性期では要支援1.2、要介護1,2の軽度者及び要介護3,4,5に求められるサービス内容が大きく異なる。
ご自身が勤務する事業所では軽度者・重度者のどちらの支援が求められているかを十分に理解して自己研鑽をする必要がある。
このブログでは、軽度者支援の在り方について解説をしたい。
軽度者支援
要支援1.2・要介護度1.2の利用者は心身機能を改善させより自立した生活が行えるように支援し、最終的には介護保険の利用からの卒業を目指すことが推進されている。
現在、厚生労働省は軽度者の自立支援では、心身機能・活動・参加にバランスよく配慮したリハビリテーションの提供を求めている。
2015年度介護報酬改定にて、リハビリテーション分野において「心身機能」・「活動」・「参加」の重要性が明示され、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションでは「活動」と「参加」に資する取り組みを評価する介護報酬項目が整備された。
心身機能・活動・参加の3つの概念は、リハビリテーション本来の意義を問いただすものであり、これからの高齢化社会においては益々重要となる。
WHOより2001年に発表された国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)にて「生活機能」という概念が提唱された。
生活機能とは「人が生きること」であり、健康とは「生活機能」全体が高い水準にあることとされている。
生活機能は、「心身機能・構造」と「活動」と「参加」の相互作用によって成り立つ。
「心身機能・構造」は、関節可動域、筋力、視覚、聴力、触覚、循環器、呼吸器などが含まれる。
「活動」とは人の日常生活行為、家事行為、余暇活動などであり、「参加」とは社会活動の参加全般で、仕事、主婦、自治会活動、サークル活動、ボランティア、市民活動などの社会的役割が当てはまる。
ICFでは、これらの各種要素にバランスよく働きかけ、生活機能を向上させることが重要であるとしている。
軽度者へのアプローチでは、心身機能のアプローチのみに偏らず、その方の活動・参加へのアプローチも必須となる。
そのためには、目標設定が重要である。
関節可動域改善や筋力向上という目標設定では不十分であり、かならず活動・参加の目標設定が必須となる。
心身機能・活動・参加をわかりやすく示すと以下のようになる(図)。
1)心身機能とは
「寝返る」「起き上がる」「座る」「立ち上がる」「立つ」「歩く」などが出来る機能のこと
2)活動とは
「食事」「排泄」「掃除」「調理」などが出来る機能のことを
3)参加とは
家庭内や地域で生きがいや役割をもって生活をする機能のこと
軽度者支援では心身機能・活動・参加の概念の全ての要素を限りなく追求する事が自立支援に繋がる。
心身機能が評価できて、活動も評価できてさらに、参加も評価できるが当たり前にできることが重要である。
投稿者
高木綾一
株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授
過去に3つの鍼灸院の経営や運営に携わり、鍼灸師によるリハビリテーションサービスを展開していた。また、デーサービスも立ち上げ、鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練やリハビリテーションを利用者に提供していた。鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方々への教育や指導経験が豊富である。現在も、全国各地でリハビリテーションに関するセミナー講師として活動している。