
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の先生方においても『サルコペニア』はご存知であろうと思う。
しかし、その内容について知識のアップデートはされているであろうか。
2010年以降、サルコペニアの定義は、「進行性、全身性に認められる骨格筋量減少と筋力低下であり、身体機能障害、QOL低下、死のリスクを伴う」として広く知られるようになった。
2010年以前のサルコペニアの定義が、「加齢に伴う筋力の低下、または老化に伴う筋量の減少」であったことからすれば、
①加齢や老化に伴うということが除去された点
②進行性・全身性に認められる骨格筋量・筋力低下
③身体機能障害・QOL低下・死のリスクも伴う
ということが付け加えられた点については、非常に衝撃的な改訂であったと記憶している。
しかし、その衝撃的な改訂から8年後の2018年に更なる定義の改訂が行われた。
その定義によると「サルコペニアは、転倒、骨折、身体機能障害および死亡などの転帰不良の増加に関連しうる進行性および全身性に生じる骨格筋疾患である」という。
この改訂によりサルコペニアは、明確に骨格筋疾患とされ(2016年にサルコペニアがICD-10に疾患として登録されたため)、転帰不良として転倒および骨折も加えられた(サルコペニアであると転倒や骨折と相関関係があることが認められた)。
また、より高齢者だけの骨格筋疾患ではなくなり、若年者や小児においてもサルコペニアがあるとする報告もされてきている。
以上、サルコペニアの定義を中心として、サルコペニアに関する知識を整理させていただいた。
本投稿が少しでも鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の先生方の知識となり、臨床場面で活かされれば幸いである。
投稿者
・理学療法士
・認定理学療法士(循環)
・3学会合同呼吸療法認定士
・心臓リハビリテーション指導
理学療法士免許を取得後、総合病院にて運動器疾患や中枢神経疾患、訪問リハビリテーション等に関わってきました。すべての患者さんのために、障害された機能の改善やADLの向上に励んできました。特に運動器疾患においては、痛みの改善や関節可動域の改善、筋力向上を目的とした理学療法にて、患者さんのADLの向上を図ってきました。
今までの経験を活かして、皆様のお役に立てるように励んで参ります。