疼痛の評価を出来ていますか?

リハビリテーションを行う上で難渋するのが「疼痛」である。

疼痛がある利用者に対してどのようにリハビリテーションを進めてよいか悩んだ鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の方は多いのではないだろうか。

疼痛に対する対応は、疼痛の種類を明確にすることから始まる。

近年、疼痛の研究が進んでおり次のように疼痛は分類されている。

体性痛
皮膚・骨、関節、筋肉、結合組織といった体性組織への機械的刺激が原因で発生する痛みである。
機械的なストレスを軽減することが出来れば疼痛が軽減することが多い。
炎症が強い場合は特に体性痛が強くなる。
そのため、炎症を抑制することも疼痛管理には重要となる。
運動器疾患ではアライメント不良から機械的な刺激が増加し、関節や筋の疼痛が生じることが多いため、アライメントコントロールが重要となってくる。

内臓痛
食道、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍により生じる痛みである。
高齢者では内臓に疾患を持つ人が多いため、既往歴や現病歴を把握することが重要である。
内臓の激痛は、内臓疾患の急激な増悪や深刻な病気を示唆することから、速やかに医療機関に受診をするべきである。
内臓痛を特定する時は、臓器を圧迫すると疼痛が増強する。
内臓痛に対しては治療よりもリスク管理が重要で状況に応じ専門医に相談する能力が求められる。

神経障害性疼痛
末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛みである。
障害をされた神経の支配領域に疼痛が生じる。
痺れるような痛み・焼けるような痛み・電気が走るような痛みが特徴的である。
ほとんどの場合で疼痛閾値が下がっており、痛みに対して敏感になっている。
体性痛と異なり、機械的な刺激が少ない状況でも痛みが増強する。
一般的に非ステロイド性消炎鎮痛薬(ロキソニン等)が効きにくい。
治療法は明確に確立していない。

リハビリテーションにおける疼痛の対応は
治療を行い除痛を図る場合とリスク管理を行い状況に応じて医療機関での対応をお願いする
に分かれる。

鍼灸師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師は職種として治療をしたくなる状況が多いと思うが、内臓痛や神経障害性疼痛に関しては対応は難しいため、リスク管理を徹底すること重要である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

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